Envisioning the Future、Exceeding Expectations
高度なビデオスケーリング
はじめに
 ビデオ・スケーリング。わずか数年前は、プロフェッショナル・ビデオやホームシアター市場に従事している人達にすら関係がなく、その用語を聞くことさえなかったとは、今ではとても考えられません。2倍走査と4倍走査は、従来のビデオ映像の解像度を上げる標準的な方法でしたが、「ビデオ・スケーリング」は、それに取って代わる意外で新しいコンセプトです。
 ここ数年間で、いったい何が変わったのでしょうか? 今日、ビデオ・スケーリングは、それ自体が大変重要視される製品分野となり、2倍走査や4倍走査を凌駕する多くの利点があると認められています。 実際、この技術は多くのディスプレー製造会社で受け入れて主流となり、製品本体にスケーリング機能が搭載され始めました。その結果、外付けスケーラーのニーズは、最高のディスプレー・システムを設計する上では単なる追加装置として一旦は手厳しく考えられ、ほとんど目に付かなくなりました。結局、もしプロジェクターやディスプレーが、ネイティブ信号の解像度(垂直画素数と水平画素数)に合うようビデオ入力を内部でスケーリングできれば、多くの顧客、ディーラー、システム・インテグレーターにとって、特定の外付けスケーラーを購入するための追加費用を妥当と考えるのは難しくなるでしょう。
 しかしながら、彼らはこの見方を考え直してもよいでしょう。何故なら、良いスケーラーは、単なる意匠を凝らした「アップコンバーター」を超えた、より低い解像度をより高い解像度へ変換できるように設計されているからです。それは、洗練されたピデオ・プロセッサーでもあり、動きに対する難しい調整、映画からビデオへの変換、アスペクト比の変換を行う機能があります。これらの機能がなくても、単純な映像の「スケーリング」によっても、結果としてフリッカーや水平走査線をほとんど見えないようにできるかもしれませんが、本当に映画のような質感を達成する事はできません。 そして、HDTVの出現によって、適切なビデオ・スケーリングとプロセッシングが、最高品質の映像体験を創造する上で重要となる全く新しい状況が起こっています。
動き補償
 標準テレビ映像を、ノンインターレース映像、高解像度の映像、コンピューター品質の映像、またHDTV(高品位)品質の映像へと変換するプロセスには、多くのチャレンジがなされています。動いている被写体はそのチャレンジの1つです。この課題へのチャレンジが起こる理由は、被写体の動きそのものからではなく、動きが従来のインターレースのビデオで捉えられて記録される方法のためで、つまり、その時に何かが起こってノンインターレース・フォーマットへと変換されるからです。
 「ビデオ・スケーリングへの誘い」で論じているように、従来のビデオの各フレームは2つのフィールドから成り立っています。つまり、奇数行の走査線と偶数行の走査線から成るフィールドです。テレビあるいはビデオ・スクリーンにフレームが「描画」される時、まず奇数行の走査線が現れ、左から右へ、上から下へ、そして偶数行の走査線が現れ、次のフィールドでまた左から右へ、上から下へと60分の1秒で続きます。この方法は、映像を表示するために使われるだけでなく記録するためにも使われます。言い換えると、もしビデオカメラで飛んでいる鳥の動きを記録すると、映像のどのフレームにおいても、奇数行のフィールドと偶数行のフィールドとを比べると、鳥はわずかに違う場所に位置しています。
 それでは、奇数行の走査線と偶数行の走査線が合体して1つのフレームとなる時、ビデオ・スケーリングのプロセスで何が起こるのかを考えてみましょう。
フィールド1
フィールド2
フィールド2に重ね合わせたフィールド1


鳥は、奇数行と偶数行の走査線のフィールドでは、異なった鳥として置き換えられて現れる。
 奇数行の走査線と偶数行の走査線が合体して1つのフレームとなる時、鳥の輪郭は、よろよろと、あるいはギザギザとなって現れます。(この現象は、しばしば「シャギー」と呼ばれます。)鳥の輪郭を滑らかにするのはスケーラーのビデオ・プロセシング機能で、ビデオの各フルフレームの中で、鳥は1つの明確な位置に現れます。同時にビデオ・プロセシングが必ず実行しなければならないのは、ビデオ・プロセシングの結果として、鳥の輪郭をぼけないようにし、スクリーンを横切る鳥の動きをリアルなまま滑らかでにし、動いている映像(鳥)に対するスケーラー自体の如何なる操作に対しても、フレーム内の静止映像(屋根の上、木々)は影響を受けないようにすることです。良いビデオスケーラーは、様々なビデオ・プロセシングと「動き補償」技術を用いて、望ましい効果を成し遂げます。
スタティック・メッシュ・プロセシング
 スタティック・メッシュ・プロセシングは、インターレース・ビデオをノンインターレース・ビデオにする最も基本的なタイプの変換です。スタティック・メッシュ・プロセシングを使うとき、スケーラーはビデオ・フレームの奇数行のフィールドと偶数行のフィールドをつなげて1つの映像にしますが、奇数行のフィールドと偶数行のフィールドの間にある違いや動きについては何も考慮しません。従って、スタティク・メッシュ・プロセシングを静止映像に用いるときに、この種のプロセシングが最も切れの良いディティール(細部)を生成し、特に細かい水平走査線のジッターを取り除きます。しかし「シャギー」を取り除くためには何も行いません。
その結果、スタティック・メッシュ・プロセシングは、他のタイプのプロセシングと共に、動きがわずかにあるかないかのビデオ・フレームを選択して適用されると、最も効果があります。
バーティカル・テンポラル・プロセシング
 バーティカル・テンポラル・プロセシングは、動きのある映像を処理する目的で用いられる技術です。 スタティック・メッシュ・プロセシングのように、バーティカル・テンポラル・プロセシングを搭載したスケーラーは、奇数行と偶数行のフィールドを合体して1つのフレームにします。しかしながら、「鳥」を例にとれば、フィールドが合成されるに従い、スケーラーは、動いている鳥の輪郭(淵)を作り上げている点を平均化して、鳥が現れる奇数行と偶数行のフィールドの中ほどに、新しいスムーズな輪郭(淵)の鳥を生成します。品質の良いスケーラーは、ぼけを最小限にして、あるいは、ディティールを減らすことで、この処理が行える一方、元になるビデオ信号に対して、明らかに幾らかの圧縮を行います。従って、バーティカル・テンポラル・プロセシングは、スタティック・メッシュ・プロセシングを用いるように、必要な箇所を選択して適用するのが最も良い方法です。スタティック・メッシュ・プロセシングとバーティカル・テンポラル・プロセシングを効果的に組み合せて、それぞれを最も適切な箇所に適用するスケーラーは、最も満足の得られる画質を提供してくれます。
映画に由来するビデオに対するアダプティブ・フレーム・プロセシング(逆3-2と2-2プルダウン)
 恐らく、高画質ディスプレーで最も人気のあるアプリケーションは、テープやDVDに記録された映画を鑑賞するための「劇場のような」体験を作り出すことでしょう。映画の標準ビデオへの変換には、最高品質の動き補償プロセシングを搭載したスケーラーに役立つ特定の条件があります。なぜなら、従来の映画には標準ビデオと比べて、性質の上で多くの異なる特性があるからです。
 第一に、映画はビデオと異なり、各コマは時間内のある瞬間を表しています。分離した「奇数行と偶数」のフィールドも、左から右へ、そして上から下へのビデオの「走査」もありません。各コマは動かない、特定の瞬間に何が起きているかを撮った完全なスナップ・ショットです。
 第二に、映画はビデオと違った速さで記録され再生されます。 映画のムービーカメラでは、1秒間に24コマ(フレーム)を撮影し、その映画は24Hzの速さで映写されます。これに比べて、NTSCのビデオは1秒間に30フレーム(60フィールド)、PALのビデオは1秒間に25フレーム(50フィールド)で再生されます。
 第三に、映画は一般に、テレビのビデオと異なったアスペクト比で撮影されます。劇場用の映画撮影は一般にワイドスクリーン・フォーマットですが、テレビスクリーンと従来のビデオ素材は、より正方形に近い4対3のアスペクト比となっています。 この問題については、このガイドの次の章で述べることにします。今は、動きとタイミングに関する第1と第2の2つのポイントにだけ集中しましょう。
映画のビデオへの変換
 次の図は、映画の8つのコマを表しています。AからHまでの各コマは、そのコマがとらえた時間内の正にその瞬間を描写しています。
 もし、この映画を、例えば、ビデオテープで使っているような標準「ビデオ」映像へ変換する場合、最も分かり易い方法を考えると次のようになるでしょう。
 この図において、映画の各コマは、奇数行と偶数行の走査線からなる2つのビデオ・フィールドに変換されています。各コマから成る2つのフィールドを合成して、ビデオのフル・フレームを作るわけですが、各フレームは、元になる映画のコマの1つ1つに対応しています。
 この内容で映画をビデオへ変換するのは可能と考えられますが、ビデオテープに変換した映画を再生した時には問題が生じます。ビデオテープでは速く再生されてしまいます。 なぜなら、元になる映画は1秒間に24コマで記録されていますが、NTSCビデオでは1秒間に30フレームで再生されるからです。つまり、1時間の元になる映画は、わずか48分で再生されることを意味しています。(PALビデオは1秒間に25フレームの速さですから、元になる映画はビデオテープ上では、およそ57分で再生されますので、この問題はほとんど気付きません。)明らかに、元になる映画とNTSC方式の間にある速度の違いは受け入れられません。従って、満足の行く映画からビデオへの変換を行うには、前の図に示したプロセスを超えた、更なるステップを踏まなければなりません。
 基本的に、ビデオを1秒間に30フレーム(1秒間に60フィールド)の正しい速さで再生して、その映画を正しい速さで見えるようにするには、元になる映画の各コマからいくつのビデオ・フィールドを作る必要があるかを計算しなければなりません。これは、以下のとおりに計算できます。
1)

もし、元になる映画が1秒間に24コマで映されるならば、各コマは1秒間の24分の1秒間あるいは 0.41666秒間、映し出されることになります。(1秒24コマ=0.4116)
2)


NTSC方式のビデオは1秒間に30フレームの速さ、つまり各ビデオ・フレームは1秒間に30分の1秒間あるいは 0.0333秒間映し出されます。更に、各コマは2つのフィールドから作られているので、各フィールドは半分の時間あるいは60分の1秒間(0.1666)現れると計算できます。
3)

映画の各コマを表現するために、いくつのビデオ・フィールドを使うべきかを計算するには、単純に24分の1回(映画の各コマの速さ)を60分の1回(ビデオの各フィールドの速さ)で割ります。
 1/24 ÷ 1/60 = 60 ÷ 24 =2.5 または 0.041666 ÷0.01666 = 2.5
 従って、NTSCビデオに変換した時、元になる映画が正しい速さに見えるためには、映画の各コマに対して2と1/2のビデオ・フィールドが必要になります。
 これは残念ながら不可能です。半分(1/2)のビデオ・フィールドなどあり得ません。しかしながら、その代わりにできるのは、映画の2コマに対して5つのビデオ・フィールドを作ることです。映画の最初の1コマから3つのビデオ・フィールドを作り、 次の2コマから2つのビデオ・フィールドを作り、これを何度も繰り返すことです。
 映画の1コマから3つのビデオ・フィールドと、 次の1コマから2つのビデオ・フィールドへと変換するこのプロセスは、「3-2プルダウン」として知られています。ビデオスケーラーにとって最適な役目であるビデオ・スケーリングとビデオ・プロセシングはこの方法で行われますが、スケーラーは「逆3-2プルダウン」と呼ばれるプロセシング技術も提供すべきす。逆3-2プルダウンは「アダプティブ・フレーム・モード」とも呼ばれ、映画に由来するNTSCビデオに対して、独特の特性を適用するように設計されています。
スケーラーはどのようにして「逆3-2プルダウン・プロセシング」の適用が必要と判断するのか?
 逆3-2プルダウンを提供するビデオ・スケーラーは、まずビデオが映画に由来するものかを検出できることが必要です。ビデオスケーラーは、ある種のパターンを奇数行と偶数行のビデオ・フィールドが「合致」する方法で探し実行します。それでは、3-2プルダウンを用いて生成されるビデオのフィールドをもっと観察してみましょう。
 上図のとおり、1番、4番、5番のビデオ・フレームでは、フレームを構成する奇数行と偶数行のフィールドは、それぞれが映画の各コマから生成されています。これに対してビデオ・フレームの2番と3番では、各フィールドは映画の2つの隣り合うコマから生成されているので、奇数行と偶数行のフィールドに異なった情報をもって現れます。
 ビデオスケーラーがこの反復、つまり「同一、相違、相違、同一、同一、・・・・」の5つのフレームのパターンを元になる映像の処理中に検出すると、それが3-2プルダウンからもたらされた映像を見ていると分ります。これらの例にあるように、逆3-2プルダウン・テクニックを適用する事で、スケーラーは最適な役割を果たします。
逆3-2プルダウンはどのように働くのでしょうか
 逆3-2プルダウンは、実際には、このガイドの前に記されているスタティック・メッシュとバーティカル・テンポラルの2つのプロセシング・テクニックの組み合せです。前に説明したとおり、スタティック・メッシュ・プロセシングは、どちらかと言えば静止映像の処理に最も効果がありますが、バーティカル・テンポラル・プロセシングは、前のフィールドからの被写体の位置を相違として検知した動きを示すフィールド(またはフィールドの一部分)に適用される時に最も効果があります。これら2つのテクニックを合体して3-2プルダウン映像素材へ適用する方法で、「逆3-2プルダウン」は構成されています。
 「同一」と「相違」のフィールドのパターンを見ると、逆3-2プルダウンを用いるとき、スタティック・メッシュ・プロセシングはフレーム1番、4番、5番に適用される一方、バーティカル・テンポラル・プロセシングはフィールド2番と3番(動きがないとすれば)に適用されると仮定できるでしょう。同様に、スケーラーはまた、隣接するフレームを構成するフィールドの違いを見て、適切な正しいプロセシング・テクニックを適用します。例えば、フレーム1の2番目のフィールドと、フレーム2の最初のフィールドは同じなので、スタティック・メッシュ・プロセシングはこの点に適用されるでしょう。しかし、フレーム4の2番目のフィールドと、フレーム5の最初のフィールドはお互いに異なるので、この移行(トランジッション)に対しては、バーティカル・テンポラル・プロセシングが必要となるでしょう。
 これは、逆3-2プルダウンがどのように働くのかを、非常に単純化して説明していますが、プロセシングの基本的原理を説明しています。つまり、逆3-2プルダウン、あるいは「アダプティブ・フレーム・モード」機能を提供するスケーラーは、元になる映画素材をビデオ素材で見た時、できる限り映画のように見えるように決定的な役割を果たします。
アスペクト比の変換
 ビデオスケーラーは、優れた動き補償プロセシングを提供することに加えて、ワイドスクリーン・フォーマットでのビデオ鑑賞に際して得られる効果を最大にしてくれます。
 それでは、アスペクト比の基本、つまり、ビデオと映画についての基本(映画として見る多くのビデオ)を再検討してみましょう。
テレビのアスペクト比
 通常のテレビのアスペクト比は4対3です。 つまり、スクリーンは4単位の幅と3単位の高さから成り立っています。
 これらのテレビは、スクリーンの高さの8倍の距離から見る時、一番良く見える状態になります。これはNTSCとPALにある固有の水平走査線とフリッカーを殆ど知覚できないスクリーンからの最短距離です。例えば、およそ16.2インチ(41.15 センチ)の高さのスクリーンをもつ27インチ(68.6センチ)の一般的なテレビを見る時、 最も良い画像だと目が認識するには、 テレビから11フィート(3.35メートル)離れて座ることです。
 これに比べて、HDTVディスプレーでは、アスペクト比は16対9です。
 このアスペクト比の起源は、第二次大戦後、日本がHDTVを開発し始めた時にさかのぼります。 この計画の目標は、視聴者により活き活きとした感覚に浸る体験をもたらすテレビ標準を開発することでした。この解決策の一部に、より広い視野範囲をもたらす、より広いスクリーン標準の創造が必然的に伴いました。16対9の形状はが最終的に選ばれたのは、テレビからスクリーンの高さの3倍の距離に座った時に、30度の視野を視聴者に提供するからでした。 (スクリーンの高さの3倍の距離は、8倍とは全く違い、HDTVを見るための理想的な距離で、フリッカーと目に見える水平走査線を消す、より高度な解像度に基づいていました。)
 この30度の視角は、標準4対3のテレビ・スクリーンにおける高さの8倍の視距離では、わずか10度の視角となってしまいます。
このことは、このガイドのポイントとは余り関係がないと見えますが、この後に記載している「アナモルフィック・スケーリング」の解説で適切だと分るでしょう。
映画のアスペクト比
 映画はテレビとは異なり、従わなければならない所定の標準アスペクト比はありませんが、最もよく使われるサイズがあります。1950年代の初め以前には、殆どの映画は1.37対1のアスペクト比で映画に撮られましたが、それは4対3(1.33対1)の標準テレビのアスペクト比に非常に近いものでした。 実際、テレビ技術が初めて開発された時代は、4対3のアスペクト比の「小さなスクリーン」は、当時人気のあった「シルバースクリーン(銀幕)」の型を踏襲したと考えられるでしょう。しかしながら、今日の映画制作では、ワイドスクリーン・フォーマットでの撮影が非常に多くなっています。今日使われている最も一般的なアスペクト比は1.85対1ですが、他にも1.66対1と 2.35対1がしばしば使われています。
 明らかに、ビデオに記録される映画は、映画の元のアスペクト比で新しいワイドスクリーンHDTVディスプレーに映すのがより良いでしょう。しかしながら、新しいHDTVディスプレーは、元の映画のアスペクト比とはぴったりと(正確に)合っていません。 (HDTVの16対9のスクリーン形状は、1.77対1のアスペクト比と等しくなっています。)更に、映画からビデオへ変換する時、たとえビデオが最終的にワイドスクリーン・フォーマットで映されようとも、従来のNTSCとPAL標準が未だに使われます。言い換えれば、ビデオに変換される映画は、たとえビデオが最終的に16対9のスクリーンに映されるとしても、4対3のフレームの構造に納まらなくてはなりません。これらの不適合性の問題は、ビデオスケーラーを用いる事で簡単に解決できます。
アスペクト比間の変換
 多くの異なった変換と表示の置換がありますが、この問題は詳細に説明しなければなりません。では、それらを個々に見てみましょう。
4対3スクリーンでのワイドスクリーン映像の表示
 私達の大多数が、今使っているテレビをワイドスクリーン・テレビに交換するまでの間は、これは最も一般的な変換への挑戦であり続けるでしょう。今では、私達はテレビ番組やコマーシャルを、いくつかのワイドスクリーン・フォーマットで見ることに慣れています。ワイドスクリーンの映像を4対3の画面に合わせるには、上下の淵に沿った2つの黒い帯が映像の高さを効果的に減じてアスペクト比が調整されます。この技術は「レターボックス」と呼ばれます。望むアスペクト比が16対9か、1.85対1か、もっと広い2.35対1かに関係なく、同じ黒い帯の技術が使われます。唯一変化するのは、見える映像が「より広く」なる比率に従い帯の幅が大きくなることです。
16対9ディスプレーでの4対3映像の表示
 ワイドスクリーンの映像を表示するために、ちょうど4対3のスクリーン上に水平の黒いバー(棒)が必要なように、 ワイドスクリーン上に4対3の映像を表示するためには、垂直の黒いバーが必要です。 これがないと、映像は不自然にスクリーンを覆うように水平方向に引き伸ばされて現れます。
16対9ディスプレーでの映画のアスペクト比の表示
 テレビ番組やビデオテープを含む、 現在手に入る多くの映像素材は、 未だに4対3のフォーマットで提供されているので、ワイドスクリーン・ディスプレーには、一般にこの方法で4対3のビデオ映像を表示する機能が組み込まれています。
16対9ディスプレーでのワイドスクリーン映像の表示
 ワイドスクリーン・ディスプレーにワイドスクリーンのビデオを表示するのは、たいへん基本的なことに見えます。しかしながら、実際には考慮すべき最も変化しやすいもので、最も混乱するやりがいのあることです。
 まず、新しいHDTVの16対9ワイドスクリーンのアスペクト比は、最も一般的な映画のアスペクト比である1.16対1、1.85対1、2.35対1に正確に合いません。そこで、前に述べた「レターボックス」と同様の技術により、スクリーンの目に見える領域のアスペクト比を合わせるために水平の黒いバーを使う事ができます。
16対9ディスプレーでのフィルムのアスペクト比表示
 このルールの例外は、元になる映画が1.66対1で撮影されているときです。この場合、16対9のスクリーンは、映画素材のアスペクト比より広いので、垂直の黒いバーを使うことにより、1.66対1の映像を歪みなしに見ることができます。
16対9ディスプレーでの1.66対1フィルムのアスペクト比表示
アナモルフィック・スケーリングを用いたワイドスクリーン映像の表示
 このガイドの初めに、HDTVは比較的近い距離、スクリーンの高さのおよそ3倍の距離から見るものと指摘しました。 この理由は、HDTVのワイド・アスペクト比が、より周辺視野を用いるために必要な、より広い視角を視聴者に提供するよう設計されているためです。周辺視野は動きに対して非常に敏感で、スクリーンの映像が「直接視野」と「周辺視野」の両方によって加工されると、映像体験はより活き活きとします。しかしながら、もし、スクリーンの非常に近くに座れば、否が応でも表示される映像の品質は限りなく切れ良く細かくなります。 ディスプレーから、スクリーンの高さの8倍の距離、すなわち、4 対3標準NTSCあるいはPAL、SECAMの映像を見るときの「従来の」距離に座れば、いかなる歪みや人為操作も、もっと目につきます。
 しかしながら、例え多くの映画が、現在、ワイドスクリーン・フォーマットのDVDで供給されるとしても、DVDメーカーは映画からビデオへの変換に際して、4対3の標準に合わせる事を余儀なくされています。なぜなら、ほとんど全てのDVDプレーヤーは、従来のNTSC、PAL 、SECAMフォーマットの標準4対3のビデオを読み加工できるに過ぎないからです。これらのDVDを録画する最も分かりやすい方法は、レターボックス技術を用いる事ですが、「アナモルフィック・スケーリング」と呼ばれる、記録する元になる映像の垂直方向をより詳細に表わし、映画監督の本来の意図するものをも表す、より高品質の出力をワイドスクリーン・ディスプレーに提供する別の方法があります。
 初めに、ワイドスクリーンの映画をビデオに記録するために標準レターボックスを使うと何が起きるか見てみましょう。NTSCをこの例に使いますが、同じ点がわずかに異なる数学計算を用いるPALとSECAMのビデオにも適用されます。
 NTSCビデオの目に見える走査線は483本です。ワイドスクリーンの映像をレターボックスを用いてビデオに記録する時、ディスプレーの上下の黒いバーが、これら483本の走査線のいくつかを取り上げ、 残りの走査線だけが 映像に関する情報を表示するために使われます。
様々なレターボックス・フォーマットでの目に見える水平走査線
 これらの映像が、HDTVディスプレーのような、より高解像度の装置に入れられる時には、ビデオは目的のディスプレーの、より多くの走査線に合うようスケールされなければなりません。今日のHDTVディスプレーには、1つの確立した標準となる走査線の数はありませんが、2つの一般的な解像度は720本と1080本です。スケーリングのプロセスにより、ビデオはより高品質の映像となりますが、結局それは、標準NTSC(水平走査線数のより少ない)よりも低い垂直解像度の低品質の映像素材に基づいています。高解像度HDTVディスプレーと合わさったスケーリングは、この事実を十分に偽装して、そのようにできるに過ぎません。
 しかしながら、ワイドスクリーンの映像が4対3の標準ビデオ・フォーマットに記録され保存される時、その映像品質を改善する方法があります。4対3のビデオフレームのフルの高さを用いて映像を水平に圧縮できます。
 以下の図は、どのように16対9の映像が水平に縮められ4対3のビデオ・フレームの枠内に納まるかを表しています。
16:9の映像を4:3のフレームに合うように水平方向に圧縮
 もし、この圧縮された映像が標準4対3のモニターに表示されると、明らかに映像は歪み、全てが本来あるべき映像よりも細く高く見えます。しかし、もしワイドスクリーンの HDTVモニターに映す前に、ビデオを縮めないで元の比率に戻すとどうなるでしょう。映像はHDTVディスプレーの走査線数に合うよう、まだスケーリングを必要としていますが、前に述べたレターボックスの例にあるように、元の映像素材の走査線の数はわずか362本ではなく、フルに483本となります。このフルに33%多い走査線は、元になる映像に対して33%多くの情報と、垂直方向に詳細な映像を提供します。明らかにこれは、HDTVディスプレー上に、より高品質の最終的な出力をもたらしてくれます。
おわりに
 結論として、元々1つのアスペクト比で生成され、別のアスペクト比に納められ、伝送され、究極的には第3のアスペクト比となる映像を表示する時、考えるべき多くの課題があります。意図しない幾何学的に歪んだ映像の表示は、適切な処理がなされないと起こり得ます。しかしながら、映像のフォーマットと使うディスプレーの知識により、ビデオスケーラーは、簡単に望ましい結果、すなわち、究極に高められた映像体験をもたらしてくれます。
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